意識の高い公務員のブログ

政令市で働く地方公務員のブログ(出向は役所のみ)。自治体職員にも民間の経営感覚が必要とされています。

空き家問題はそろそろ所有権とか固定資産税の話を進めたほうが良い

空き家問題が社会問題化している。

空家対策の推進に関する特別措置法という法律あるが、この法律では適切に管理されていない空き家が問題となっている。

都市部ではこの問題はその通りである。何故なら住宅が密集しているので、適切に管理されていない空き家の周辺で生活している人にとっては迷惑だからだ。

しかし、地方の田舎ではそんな問題は発生しない。何故なら田んぼや山に囲まれた家がポツポツと建っているだけだからだ。

では田舎ではどんな問題が発生しているか。

 

「誰も使わない空き家(及び付帯する山林や田畑)の固定資産税を永久に払わされ続ける」

 

大問題である。

ちなみに、よく言われる「人口減少で地域の活力が失われる」というのは問題ではない。田舎ではそもそも活力がないからだ。

 

都市部ではこのような問題は発生しない。

なぜなら空き家は売れるからだ。更地にして売っても良い。数千万円で売れるのが普通である。都市部ではむしろ住宅用地が足りず、未だに山林を切り開いて開発をしているところだらけである。

 

田舎の空き家・空き地問題は解消が難しい。

何故なら好き好んで不便なところに住む人はいないからだ。しかし日本の制度では固定資産税は永遠に払わねばならず、所有権の放棄が出来ない。

民法上、所有者のいない不動産は国のものになることになっているが、現実問題としてそうなるケースはほぼない。というか無いと言っていいレベル。

現在の所有者が死亡すれば、相続登記をしなくても法律上は相続したことになるので、書類上は死亡者が所有したまま、その配偶者や兄弟姉妹、子が固定資産税を払う。以下、日本が滅びるまで同じことが続く(税制が変わらない限り)。

 

では、所有権の放棄が出来ないとして、固定資産税の支払いを拒むことはできるのか?

結論から言うと、ほぼできない。では、できる場合とはどういうものなのか?これは、今からその方法を取ればできるというものではないが、固定資産税が払われていない代表的なケースを挙げよう。

 

①所有者が沢山いすぎて特定できない

②相続人がいない

 

①のパターンは、登記簿上の所有者がかなり昔に亡くなっていて、法定相続人が大量になり、誰に課税すればいいかわからないパターン。普通は役所が法定相続人の内から1人を指定して税を払わせるが、それを断念するパターン(課税保留とか課税留保という)。

②のパターンは、死亡した所有者の親族がいないか、全員死んでいるパターンである。今後、未婚のまま亡くなる人が増えると予想されるので、このパターンは増加すると思われる。

 

このように、今払っている固定資産税を、来年度から払わなくて済む、という方法はない。

 

ちなみに、両親が共に田舎出身の男性Aさんと、同じく両親が共に田舎出身の女性Bさんがいたとしよう。

Aさんは両親が亡くなった後、その不動産を相続するので、両親の実家と自分の家の固定資産税を払わなくてはいけない。同様に、Bさんも両親の実家の固定資産税を払うことになる。

では、AさんとBさんの子供Cさんがいるとして、AさんとBさんが死亡したとしよう。

すると、Cさんは自分の祖父母の家と、自分の両親の家、さらに自分の家の6つの不動産の固定資産税を払わなくてはいけなくなるのだ。

そんな馬鹿なとお思いかもしれないが、これが今の日本のシステムである。

この問題はまだ大きく取り上げられていないが、団塊の世代が亡くなり始めると、より深刻な問題になると思われる。Cさんに兄弟姉妹がいればまだましだ。それぞれで負担を分ければいいからだ。しかし1人っ子なら最悪である。

 

…と、ここまで読んだ方の中には、「結婚して子供を産んでも、1人しか産めなかったら、子供に迷惑がかかるな」と思われた方もいるだろう。

その通りである。こんな制度になっているのなら、子供を作らないほうがマシとも考えられる。固定資産税から逃れる方法は、血筋を断絶する以外無いからだ。

 

相続放棄すればいいんじゃないの?と思われる方もいるかもしれない。

しかし現実は、放棄しても固定資産税は支払わされるのである。また、相続放棄は相続財産全てを放棄しないといけない。つまり仮に預貯金があった場合、それも放棄となる。なので今の日本ではどうなっているかというと、使わない空き家(と、空き地)も相続して、しぶしぶ固定資産税を払い続けているのである。

 

田舎出身者と都市部出身者では、親の死亡時に大きな差が出る。

このような制度で良いのだろうか?

日本は所有権の放棄や固定資産税の免除などを考えたほうが良いのではないだろうか。