読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

意識の高い公務員のブログ

政令市で働く地方公務員のブログ(出向は役所のみ)。自治体職員にも民間の経営感覚が必要とされています。

ニュースの読み方~長岡京市個人情報漏洩問題~

京都府長岡京市というところで、ちょっとした騒動になっている。

長岡京と言えば、平安京の前に桓武天皇平城京から遷した都だが、調べたら内裏は隣の市にあったらしく、長岡京市長岡京遺構の一部が(初めて)見つかったところらしい。


さて、京都府長岡京市人権推進課の職員が、個人情報を漏らしたとして話題になっており、各新聞社がどのように報道しているか簡単に見ていく。

毎日新聞

http://mainichi.jp/articles/20170311/k00/00m/040/031000c

「市によると」A氏にヘイトスピーチを受けていると、B氏から相談メールが人権推進課から寄せられた。しかしそのメールはA氏に対するヘイトスピーチであると市は判断し、B氏からの相談メールを印刷したものをヘイトスピーチの相談に来庁したA氏に見せ、A氏が撮影した。
産経新聞

ヘイトスピーチの相談メール、相談者と別人がツイッターに掲載 京都・長岡京市 - 産経WEST

B氏からヘイトスピーチに関する相談メールが市にあった。後日、A氏が来庁し、ヘイトスピーチの相談をしてきたので、関係すると思った市職員がB氏のメールを見せたが、個人情報が載っており、A氏が撮影した。
京都新聞

問い合わせメール、外部に提供 京都・長岡京市、職員を厳重注意 : 京都新聞

男性(A氏)は15年にヘイトスピーチ被害を受けていると同課に相談に訪れた。職員は、市に同年3月に(B氏から)メールで寄せられていた男性に関する文書を印字して提示。その際、男性が撮影したという。
④市の公式発表

市民相談に対する不適切な対応について | 長岡京市公式ホームページ

A氏がヘイトスピーチを受けていると相談に来庁した。B氏からの相談メールがA氏へのヘイトスピーチであると判断し、そのメールをプリントアウトしたものを見せた。しかしこれは不適切だった。

 

さて。①~④でそれぞれ書いてあることが異なる。
毎日新聞は、割と市の公式発表に近い。京都新聞も間違ったことは書いていない。しかし最も、事実に近いことを記載しているのは②の産経新聞である。どういうことか。
ネットを探せばわかるが、このB氏が送ったメール、A氏へのヘイトスピーチでも何でもない。ここが重要である。①と④を見ると、完全にB氏が悪者になっている。③だと、どっちが悪いかよくわからないが、誤報ではない。②の産経新聞は事実をそのまま伝えている。

たまに、「ネットの情報はあてにならない」という人がいるが、今回は明らかにネットの情報(つまりA氏のTwitterやTogetter等)を見たほうが正しい情報が得られる。なぜなら、ネットの情報が1次ソースだからだ。

そして、今回、炎上した原因の1つとして、「加害者と被害者が入れ替わってしまった」ということが挙げられる。


炎上のもう1つの原因は、A氏が参議院議員有田芳生の弟、和夫氏であり、ネットでは極左と呼ばれている人物である点。芳生議員は「ネトウヨをゴキブリと呼んでもヘイトスピーチではない」と言っており、和夫氏もまた、ネトウヨをゴキブリ呼ばわりしている。こういったことを、B氏は人権推進課にメールで相談したわけである。よって、B氏は本来被害者であるはずなのに、市の公式発表では加害者となってしまっている。

仮にB氏が和夫氏に対するヘイトスピーチをしていたとしても、今回の相談メールでそれを判断するのは不可能であり、市の見解は誤っていると言わざるを得ない。

これではネトウヨが怒るのも無理はない。案の定、ツイッターではリプライやRTが飛び交い、電凸も発生しているようだ。今回は「個人情報漏えいを追及する」という大義名分があるので燃えやすい。
幸い、炎上としては規模が小さいので、放置していればいずれは沈静化するのではないかと思うが、一部の人間には語り継がれる事案になるであろう。

 

では、市役所はどう対応すればよかったのか。

【1】ありのまま、事実を伝える。

要は、和夫氏が来庁したときにB氏のメールを関連性があると思ったから見せた、ということを言えばよかったのであって、わざわざ「B氏のメールがヘイトスピーチだと思った」なんて書かなくてよかったのである。京都新聞によると2015年に応対した職員は退職済みらしいので、おそらくこれは内部で打ち合わせをし、”そういうことにしよう”という結論になったのではないかと私は考えているが、ネットへの理解が足りな過ぎると言わざるを得ない

【2】謝罪する。

市の公式コメントには謝罪がない。炎上への対応が不慣れであることが一目でわかる。

【3】今後の対応として、ネット文化の研修を開催する。

ただ単に「個人情報の取扱いに注意するよう、職員に周知する」だけでは駄目である。ネット文化を知るべきだ。ネトウヨ、パヨク、その他関連ワードは関連書籍やインターネットに親しんでいれば分かる言葉である。

 

上記【1】【2】を実施しても問題が解決するわけではないが、今回のずさんな対応よりは余程良いように思う。