意識の高い公務員のブログ

政令市で働く地方公務員のブログ(出向は役所のみ)。自治体職員にも民間の経営感覚が必要とされています。

コンパクトシティって何だろう

行政は様々な政策を行っています。今、都市計画関係で注目されているものの1つにコンパクトシティなるものがあり、そのコンパクトシティを作るために立地適正化計画というものがあります。

 

1 コンパクトシティって?

 この用語について明確な定義はありませんが、簡単に言えば居住地と店や病院がまばらに存在せず、ある程度固まって存在する市町村のことを言います。ヒトデをイメージしてください。頭(中心)の部分が中心市街地で、5本の足の先が居住地や店の塊、足が道路です。因みに現在、多くの市町村はタコかイカの状態です。

タコ:頭が大きい=中心市街地は賑わっている。足が8本=居住地や店が点在しすぎ。

イカ:中心市街地が賑わっていない上に居住地や店も点在していて最悪。

このうち、イカ型市町村にコンパクトシティが必要です。

 

2 コンパクトシティの具体例は?

 これ重要です。具体例はありません。一応、青森市富山市が成功事例として言われていましたが、雲行きが怪しいという意見もあります。つまり、具体例が無い中、これからコンパクトシティ政策を撃ちまくって、成功事例を作ろうというわけです。

 ただし、例外があるので、それは5番目の項に書きます。

 

3 なんでコンパクトシティが必要なの?

 まず人口問題があります。戦後、日本の人口は増加してきましたが、今後は減少すると見込まれています。何故なら高齢者が増えるから死者が増え、かつ子供が生まれにくい世の中になっているからです。

 次に広がりすぎた市街地があります。住んでいる市町村の航空写真を見ると、「こんなところにも人が!?」というところに人が住んでいたりします。「○○台」「○○が丘」といった地名は、割と中心市街地から離れていることが多いですね。で、なんで市街地が増えたかというと、戦後にベビーブームで人口が増え、しかも子供が親と暮らさず独立するようになったため、住む家が必要になりました。よってそれまでは田んぼや森林だった土地を切り開き、住宅にしたわけです。中心市街地から離れていると地価も安いので、サラリーマンには嬉しい。

 ところが、そういう中心市街地から離れたところに住んでいる人たちが高齢化しています。よって空き家や買い物難民が出てきます。人口が減っているので空き家の買い手もいません。今のところ、高齢者でも車に乗れたり近所の助けがあって何とか生活していますが、2025年には団塊の世代後期高齢者になり、2035年には3人に1人が高齢者の時代になります。そうなると辺鄙なところに住む高齢者はますます生活しづらくなります。

 こういった問題を、都市政策方面で解決するのがコンパクトシティです。

(後は水道管等のインフラ維持とか色々あります)

 

4 本当に解決できるの?

 まずは解決のプロセスです。イカをヒトデにするには、とりあえずイカをタコにする必要があります。そのために立地適正化計画を作って、「イカの10本ある足のうち、8本だけ使うよう誘導」します。同時に、イカの頭(胴体?)の部分に公共施設や店、病院を作って中心市街地を活性化させます。これが上手くいけばイカがタコになります。

ただ、個人的には課題が多いと思います。

例えば、老人介護施設の問題です。コンパクトシティをやる上では、介護施設を建てる場所もある程度制限しなくてはいけませんが、規制して「ダメ」とまでは言えません。どうしても必要なら、9本目の足の先に介護施設が建つこともあります。また、忌避施設が9、10本目の足の先に建つことも考えられます。あとあまり考えなくていいですが、人口が増えた場合は9、10本目の足の先に家が建ちえます。

あと、これは富山市が直面しているのですが、自分の市だけ9、10本目の足の開発を規制しても、隣の市が郊外を開発すると意味がありません。

なお、立地適正化計画は基本的に「誘導」であり、規制はしないらしいです(この計画は比較的新しいので作成している自治体が少ない)。

 

5 実は自然とコンパクトシティに収束していく

 最初のほうで、自治体はヒトデ型、タコ型、イカ型があると書きましたが、このヒトデ型がコンパクトシティなわけです。つまり「コンパクトシティにしようとは思わなかったけど、何か知らんがコンパクトシティになった」市町村が存在します。主にベッドタウンがそれです。私は関東に詳しくないので関西の例で申し訳ないですが、例えば大阪の高槻市茨木市大阪市京都市のベッドタウンであり、駅前(中心市街地)は発展していて、郊外にも人が住んでいます。個人的にはヒトデとタコの中間ぐらいだと思っています。また、京都府長岡京市向日市大阪市京都市のベッドタウンであり、しかも面積も小さい(長岡京市は20㎢、向日市は7.7㎢)ので見た目にもコンパクトです。これら2自治体はヒトデです。

上記4市町はコンパクトシティをやろうとした計画を作ったわけではありません、戦後、人口増加に伴って自然に住民や住宅地が増えていきました。

自然に作られたコンパクトシティを、行政の力という人工的な方法で再現できるかどうか、今後に注目しましょう。